ニュージランドで18ヶ月、車一台で生活した男と対談

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ディーン・ニューコム

イギリス人の俳優・モデル。彼は数年前ニュージランドで18ヶ月間、車一台でサバイバル生活をして無事生還した『リアル・イントゥ・ザ・ワイルド(生還版)』の超野生的な男。彼に会うことが出来たので、いろいろ気になることを聞いてきました。

 

Kouta Itou×Dean Newcombe

 

Kouta「まず最初に、なんでそんな生活をしてみようと思ったの?」

Dean「実は僕、イギリスでエンジニアとして働いていたんだ。周りの友達よりもいい仕事だったし給料も良かった。僕の友達は僕よりひどい仕事をしていたし、給料も良くなかった。でも彼らは本当に人生を楽しんでいたんだ。何より自由だった。自由だからいろんな所に行って、冒険をしていたんだ。それを見てたら僕のほうが人生つまんないんじゃないかなって思ったんだ。僕も世界にダイブしてみたいと思ったんだ。それがきっかけさ。」

Kouta「なるほど、それでなぜニュージランドという国を選んだの?」

Dean「良い質問だね。僕はそれまで海外に行ったことが無かったんだ。でも僕は君みたいにちょっとクレイジーだったから(笑)、どうせだったら超イカレタことをしたかったんだ。それで地球儀を見たらイギリスから最も離れたところにある国がニュージランドだったんだ。日本で言うとブラジルだろ。ちょうど逆さまの場所にあったんだ。それで『ここいいじゃん!』って思って。英語通じるし。もうここしか無いだろと思って行ったんだ。」

Kouta「またすごい理由だね(笑)それで、着いたらまずどうしたの?」

Dean「僕はお金が無かったんだ。だから毎日ホテルに泊まるわけには行かなかった。移動もしなくちゃいけなかったしね。だから考えたんだ。移動もできて、寝床にも困らないものは何か無いかと。」

Kouta「なるほど、それで車を買ったと?」

Dean「その通り。中古車でめちゃくちゃ安く売ってたんだ。車買えば好きに移動できるし、寝床にも困らないし。ベストアイデアだろ!・・・そうそう、これがその車だよ」

 

 

 

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Kouta「普通の乗用車じゃん!!!(笑)」

Dean「買ってから気付いたんだけど、結構つらかった。まあ、でも俺には十分だったよ、ハハハ」

Kouta「すごいなあ、寝にくく無かったの?」

Dean「もちろん寝にくかったさ。だからたまにドミトリー(安宿)に泊まったり、人の家に泊まらせてもらったり、キャンプしたりしたよ。車の中は他に手段がない時とお金がない時に寝たね。」

Kouta「なるほど、常にずっと移動していたの?それとも一気に移動して、しばらく一つの場所で生活してたの?」

Dean「少しずづ移動してその辺りを冒険して、気に入ったらその場所にしばらくいるという感じだったね」

Kouta「ほんとにアドベンチャーだな(笑)」

Dean「最高だったさ。火山を見た次の日は湖に行って、その次の日は海で泳いでみたいな(笑)・・・でももちろん、そんな楽しい日は長くは続かなかった。」

Kouta「何かトラブルが起こったんだね」

dean「その通り。開始して三ヶ月後に金が底をついたんだ。たぶんあの時が僕の人生で最も貧しかった瞬間だったね。本当にそこら辺に生えてる草を食べたり、木になってる果実を食べたり、野生の動物を捕獲して食べたりして過ごした

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そんで案の定、腹に当たってさ、車の運転中にどうしても耐えられなくなって」

Kouta「まさか」

Dean「いや、それで車を停めて道路脇で用を足したんだ。ただ、そこが高速道路だったから俺が踏ん張ってる横で猛スピードでトラックが通って、変な目で見られてさ、しかもアレが飛び散っちゃっ・・・」

Kouta「わかった!もういいよ!笑」

Dean「まあ、それでこれはもうダメだと思って街に出たんだ。死んでしまうと思ってね!それでスーパーの掲示板にモデル募集の広告があったから応募して面接に行ったんだ。もちろん肩まで髪が伸びて、服も超汚い状態で」

Kouta「(笑)それで、もちろん落ちたと?」

Dean「いや、その有志が認められて受かった。そのモデルの仕事で当分の生活費を捻出できたんだ!」

Kouta「すごいな笑」

Dean「その後もその繰り返しだったね。お金が底をついたら少しの間働いて、また冒険するみたいな」

Kouta「すごいね、あ、そうそうヒッチハイクも結構したんでしょ?」

Dean「そうだそうだ、それを話さなくっちゃ!ヒッチハイクしている時に1回ひどい目にあってさ、乗せてくれたのが若い男だったんだけど、彼はぜひ家でビールでも飲んでいきなよ!って行ってくれたんだ。でも僕は友人の家に行く予定だったし、みんな待ってたから断ったんだ。でも彼は執拗に誘ってきた。なんかおかしいなって思ったんだよね。それでその時に気付いたんだ。目的地とは正反対の方向に向かってるって。」

Kouta「わお笑」

Dean「それでやばいと思ったから、バックパック持って車から飛び降りたんだ。それで難を逃れた」

Kouta「映画かよ!笑」

Dean「それで、その飛び降りた所なんだけど、周りに何一つ無かったんだ(笑)家も建物も車も本当に何もなかった。」

Kouta「どうしたの、その後?笑」

Dean「仕方ないからその場所で寝袋ひいて仮眠したんだ。だけど明け方ものすごく寒くなってしまってね。もう後ちょっとで気を失ってしまうという時に、ちょうど一台の車が後ろから来たんだ!それで僕は両手を振り回して『頼む!死んじまう!停まってくれ!』って言ったんだ。そしたら停まってくれて。それで事情を話しんたんだ。そしたら彼がこう言ったんだ『あそこの明かりの灯った家、俺の別荘だよ。今日の朝、夢の中で天使が“別荘に行きなさい”って言ったんだ』」

Kouta「まじで!?」

Dean「運命って不思議だよね。そんなことの繰り返しだよ。」

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Kouta「一番役に立ったモノって何?」

Dean「うーん、なかなか難しい質問だね。まずモノじゃないんだけど食べ物だったらシンプルなホール型のパンだね」

Kouta「ほお、なんでまた?」

Dean「こいつがまた使えるんだ。なぜならパンの真ん中に野菜とか卵とかいろいろ詰め込んで食べればスプーンも、食器も、フライパンも何もいらないからとてもミニマムに食事ができるんだ。」

Kouta「なるほど、水も使わなくて済むしね。でもガスコンロとか持っていかなかったんでしょ?どうやって調理したの?」

Dean「車のボンネットを開けて、エンジンの上にフライパンを乗せて調理してた!そうそうカメラで撮っておいたよ、見る?」

Kouta「やばいな、っていうか凄い所にいるな(笑)」

Dean「頭おかしいだろ!ハハ!まあ、それで食べ物じゃなくてモノでいうと・・・一番役に立ったのはビニール袋かな!こいつは本当に使えるんだ。汚い服とか入れられるし、大雨の時にも役立つし、水も貯められるし、最高だった。いつも10個位バックパックに詰めておいたよ」

Kouta「なるほど、他には?」

Dean「ペンライト(ヘッドライト)寝袋だね。日中は別に無くても困らないんだけど、夜になると話は別だからね、こいつらがないと死んでしまうからね。そして寝袋はマイナス5度とかに耐えられるやつじゃないと本当に意味が無い!」

Kouta「それは僕も賛成だね。寝袋ってなんだかんだ言って寒い時にしか使わないから、極寒に耐えられないと意味ないんだよね」

Dean「その通り!あとスノーボードパンツも役に立った。ひどい雨や雪の時とか洗濯している間に着る服として最高だったよ!」

Kouta「というか洗濯はどうしていたの?」

Dean「恩恵に与ってたね、泊めてもらった人にお願いして洗ってもらってた。でも出来ない時は同じ服を10日間位着てたよ」

Kouta「すごいね(笑)臭わなかったの?」

Dean「臭うも何も、サバイバル生活してるからそんなの気にならないよ!」

 

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Dean「まあ、そんなこんなで雪山でサバイバルしたり」

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ジャングルの中でサバイバルしたり

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したんだけど、僕には余裕すぎてさ、もうそろそろいいかなって思って『お母さん〜ただいま〜!!』って普通にイギリスに帰ったよ!」

Kouta「・・・・・・・・」

さすがに、ここまでワイルドに生きることはなかなか出来ないなと思いました。(笑)彼は生まれてから1回も病院に行ったこともないし、薬も飲んだことが無いらしいです。彼によると「毎朝冷水でシャワーを浴びる」ことと「毎朝はちみつを舐める」ことをすれば絶対にどんな病気にもかからないらしいです。笑 ぜひミニマムに生きたい人は試してみてください。

あとやはり彼も僕と同じようにオーガニック系のものを愛用していました。ココナッツオイルとかタイガーバームとか。
あと筋肉隆々でした。ホントにボクサー並でした。だからこそ彼はなんの病気にもならずに生還できたのかもしれません。
やはり前回記事でも書いた通り、ある程度体を鍛えておくことはミニマリストに必須条件なのかもしれません。
あと彼が最後に「人々との出会いはミニマリストにとって必須だ」と言ってました。そして良かった出会いは全部ヒッチハイクとか、道であった人たちだと言っていました。これってきっと偶然によってもたらされるものなのではないでしょうか。同じ考えの集まり(会社とかサークルとか)では出会えない、今までに全く会ったことのないタイプの人間に会うことによって、自分のミニマリズムが形成されていくのではないでしょうか。

Kouta 「最後に、その18ヶ月で寝た場所で一番すごかった場所ってどこ?」

Dean「トイレの中かな!

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6 thoughts on “ニュージランドで18ヶ月、車一台で生活した男と対談

  • すごく素敵な記事ですね。人生って素晴らしいなぁ・・・とジンワリ感じました。記事のアップ、ありがとうございます。

    • ごめんなさい、遅れちゃいました。

      彼のような体験をネットを通して広めることこそがこれからのネットに必要とされているのではないかなと思い書いたので、共感してくれる方がいて嬉しいです。
      もしかしたらロスト・イン・トランスレーションになってるかもしれませんが。笑

  • いいですね。この記事。
    何度も読んでしまいます。

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